厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主を対象に「雇用調整助成金」の支給要件を緩和する特例措置を設けました。

雇用調整助成金の特例の概要

雇用調整助成金とは、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた 事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、労働者 の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するものです。
新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主を対象に特例対象が拡大されました。

【特例の対象となる事業主】
●新型コロナウイルス感染症の影響を受ける雇用保険の適用事業主
●売上高又は生産量などの事業活動を示す指標が前年同期に比べて10%以上減少していること

例えば、
●国や自治体等からの外出自粛要請などにより、客数が減った
●風評被害により観光客の予約キャンセルが相次いだ
●部品の調達・供給等の停滞の影響により生産量が落ちた
など売上高・受注量等の事業活動の縮小により従業員を休業させた場合

【対象となる従業員】
休業または教育訓練を実施した雇用保険被保険者
※6か月以上の被保険者(3/5現在)

【支給額】
●休業手当または 賃金(教育訓練実施の場合)相当の2/3(大企業は1/2)
※ 1人あたり日額8,330円が上限
●教育訓練を実施した場合  1人あたり日額1,200円を加算

【特例措置の内容】
①令和2年1月24日以降の休業等計画届の事後提出が可能(5/31まで事後提出が可能)
②生産指標の確認期間を3か月から「1か月」に短縮
③令和2年1月24日時点で「事業所設置後1年未満」の事業主についても助成対象
④最近3か月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象


なお、 3月中旬より下記の追加特例が予定されています。

【追加の特例措置の内容】
①休業等の初日が、令和2年1月24日から令和2年7月23日までの場合に適用
②新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6か月未満の労働者も助成対象
③前回の支給対象期間の満了日から1年を経過していなくても助成対象
④過去の受給日数にかかわらず、今回の特例の対象となった休業等の支給限度 日数までの受給を可能

【厚生労働省HP: https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000603338.pdf

この助成金の要件である「休業」は、一部の従業員のみ休業させる場合も助成金の対象です。
例えば、半分の従業員を出勤とし、もう半分の従業員を休業させる場合、休業させた従業員の休業手当は、雇用調整助成金の対象となります。
また、営業時間の短縮などにより、全員を短時間休業させることも対象となります。ただし、1時間以上の休業が必須です。